PWM制御(Pluse
Width Modulation―パルス幅変調)とはパルス制御の一つであり、この方式はパルスにより回路を高速
でスイッチングすることで供給電力を調整するものです。太陽光発電制御では蓄電池が必要としている電流を、その状況に合わせ調整して、連続的に充電しま
す。 この方法はモーターの回転制御等に応用されている優れた技術ですが、充電制御に利用した場合、下記で説明される、限界も見られます。 自然
エネルギーによる発電装置では出力は常に一定ではなく、設置されている環境により常に変動し
ます。しかしPWM制御では発電装置の出力電圧が高くても、接続された充電対象である蓄電池の実
際に必要としている電圧により、最大電力点(Maximum
Power Point)が左右され、それにより出力電流が決
定される定電流特性があります。電圧は接続された蓄電池の充電必要電圧で決定されます。仮に太陽光パネルの最大発生電圧が24Vとしても、蓄電池の電圧が12Vとすると発電装置の出力電圧は12Vとなります。 PWM制御は定電流特性のため「W=A x V 」の理論から、例えば発電装置の出力
が「5A x 24V=120W」であった場合でも、蓄電池が12Vの場合は「5A x 12V=60W」しか充電されないのです。このような発電装置の定格出力より低
い電力しか取り出せなくなる現象を、一般にMPP損失と呼びます。しかし日照時間が長
く、蓄電池も比較的小規模であれば、PWM制御でも構わないと思われるユーザー
も見受けられます。 しか
し日照時間が短く、曇りも多い地域の場合、太陽光発電等で100%近いエネルギーを利用可能とする研究
がなされ、その結果MPPT(Max
Power Point Tracking−最大電力点追従) 制御が考案されました。MPPT制御では発電装置の最大出力が「5Ax24V=120W」の場合、充電必要電圧12Vを検知した時点で電流を増大させ、発
電装置の120Wの出力を「10A x 12V=120W」と、電流を最大限に引き上げて負荷
(蓄電池)に供給出来るようにしたシステムで、充電効率を飛躍的に増大することが出来ます。 自然
エネルギーではこのI-V (電流−電圧) 特性が常に環境により変化するため、MPPT制御では発電装置の出力(電流と電圧の積)が最大になる
ように、常に最適な電圧と電流を自動で追従制御します。太陽電池等では定格出力の最大で97%程度まで変換効率が改善され、発電装
置の出力を最大限有効な充電電力として取り出す事が可能となっています。このような高度な回路となるため、MPPT充電制御器の価格は機能相当分が高く
なります。しかし、長期寿命を有する機器においては、初期投資比較でなく充電効率の良い充電制御器を採用し、得られる電力量比較をすることが正当な評価で
はないでしょうか。 MPPT制御は、最初は太陽光 発電の効率UPに実用化され、10年程前からは風力発電にも応用されています。風力の場合は太陽光発電より風速の変化は 激しく、発生電流は極端に変動しますので、今迄利用されない範囲も含めて、MPPT制御でエネルギーを効率よく取り込む事に成功しています。当社においても充電制御器に はMPPT制御充電器の採用を推奨しています。
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