水車発電(開放周流型)発電への経過


2008年6月〜10月

近年に至り、弊社には全国から”日本古来の木製水車で発電できないか?”とのお問い合わせが多数寄せられてきています。従来は、日本古来の木製水車(一般的には開放周流型と呼ばれている)では発電に必要な回転数が確保できず、回転数を確保する為に多段の増速をすると、トルクが不足する事になり、結果的に回転数がダウンして、発電しても数10Wの微々たる電力しか取得出来ない結果に終わっています。この様に日本古来の木製水車で発電するには、多くの解決しなければならない問題がありましたが、弊社は以下の点に注意を払い、皆様に納得を頂ける電力を取得すべく、トルクの比較的高い”上掛水車”を試作し実験を重ねています。

(1)トルクを確保するためには、水車直径を大きくしバケットの数を多くすればよいが、一般的に水車の直径と回転数は反比例する。また、水車幅を大きくし多量の水量を入れれば良いのであるが、効率が良く強度的にも価格的にも導入し易い大きさを検討。
(2)トルクをできるだけ大きくするための、水を受けるバケットの大きさと数及び形状の検討。
(3)水車は分解可能で現地組立方式が可能であること(@現地搬入が容易A部品取替え等の修理が容易)
(4)水車及び増速機、発電機は耐久性があり出来るだけ安価であること。
(5)発電効率が高く安価な発電機の選定(先進国で大量生産されている実績の高い高性能発電機の採用)
(6)保守は簡単に行なえる事。
実験用水車の仕様;
実験用水車設計箇所の導水路及び放水路の関係より:
          *使用水量:      30リットル/秒
          *水車直径:       2600mm
          *水車幅:             500mm
          *受水槽数:           24槽
          *受水槽長:       約340mm
          *受水槽間口:  約170mm
          *水受板幅:      約170mm
*水車梁は12本で、水車軸及び水車中心付近構成は鉄製とし強度を確保
*受水槽口形状は受水槽の貯留水放出の容易さより、貯留水を可能な限り長時間保持するように外周と平行に幅170mmの水受板を設置。
*外周と平行に幅170mmの水受板を設置。 (実験水量では、注入水は一部水受板の上を流れるが、ほとんどは先行する水受槽に流入する)

増速機の仕様;

*水車軸:増速機 遊動リング付きチェーン   (1:2)
*増速機(減速機)                (1:10)
*増速機:発電機 Vベルト            (1:2)

            計                    (1:40)

発電機の仕様;

*永久磁石多極回転子、多極固定子採用低トルク交流発電機
*端子出力:DC12V/24V選択可能(蓄電池充電専用)
* (発電機詳細は弊社ホームページ:DIYペルトン参照) 

実験結果;
   当初予想発電量
   9.8×(30{流量}÷1000)×2.6(落差)×0.6{水車効率}×0.5{伝動効率}×0.7{発電機効率}=160W
    
           水車回転数      18rpm
           発電機回転数 794rpm
     実験測定値:12.3V(DC出力電圧)   18A(DC出力電流)   230W 
回路構成;
    C-35充放電制御装置経由12V蓄電池充電。
    並行出力負荷:インバータ(400w)経由、100V100W白熱球×2
考察;

 開放周流型水車の効率は60%程度と通常算定されており、発電機効率は70%、伝動効率を50%の予想を大きく上回った。実験結果を考察すると水車効率は70%程度、伝動効率も60%と推定され、今後の改造(水車水受槽口形状の改良、水車軸と増速機の直結、導水口形状改良)等を考慮すると300W出力も期待できるのではと予想している。


試験中


導水路完成



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